高エネルギー加速器研究機構・藤本順平氏作成
【用語集】
素粒子:宇宙は原子という粒でできている。その原子を構成するより基本的な粒を素粒子と呼ぶ。また素粒子に働くさまざまな力も力の素粒子の交換によっていることもわかってきた。宇宙の物質、力の正体が素粒子である。
電子:電線の中で、動くことにより電流となる粒が電子。また、各種原子の外側を回っているのも電子である。今のところ、電子には、それ以上小さな構造がないことがわかっており、電子は素粒子の一種である。
陽子:原子の内部にある硬い粒のかたまり、原子核を形成する粒の一つ。水素原子は、陽子一つと、電子一つでできている。ただし、陽子は、更に小さな素粒子「クォーク」からできていることが知られている。
加速器:電子や、陽子に高い電圧をかけて加速することで、エネルギーを与える装置。
測定器:加速器でエネルギーを与えた電子や、陽子を衝突させた時に起こる素粒子の反応を記録する装置。
高エネルギー物理学:加速器を使って電子や陽子に高いエネルギーを与え、それらを衝突させることで、素粒子の性質を探る学問。宇宙創成時のビッグバンでは、素粒子は高いエネルギー状態にあったため、加速器はビッグバン再現装置とも呼ばれる。
反物質:物質と出会うと、エネルギーになる物質を反物質という。陽子の反物質は、反陽子。電子の反物質は陽電子と呼ばれる。逆にエネルギーは物質と反物質を生み出すことも知られている。
陽電子:電子の反物質。電子と出会うとエネルギーになってしまい、電子、陽電子ともに消滅してしまうので、普段、陽電子を見かけることはあまりない。
加速器KEKB:茨城県つくば市にあるKEKが有する加速器のひとつ。電子と陽電子にエネルギーを与え衝突させることで、宇宙の創世時にたくさん存在していたb・クォークを大量に作りだし、反物質と物質の性質の違いを探求した。KEKの地下11メートルには周長が3キロの2本の真空パイプがトンネル内に配置されており、加速器KEKBを構成している。
BELLE測定器:縦・横・高さがそれぞれ8mの、素粒子の反応を記録する装置。
小林・益川理論:素粒子であるクォークの物質と反物質の性質が若干違う可能性を示唆した理論。加速器KEKBとBELLE測定器により、その正しさが検証され、2008年にノーベル物理学賞を受賞している。
KEKB高度化プロジェクト:加速器KEKBとBELLE測定器をアップグレードし、40年かかる測定を1年ですませられるようにするプロジェクト。